さらば聖地.Day3
あっという間だ。本当にあっけない。
2泊なんて一瞬で過ぎ去ってしまった。
カフェスペースで今治産ブルーベリーソーダを頂きつつ、本当に今更ながらマップとにらめっこ。
ほぼ完全に行き当たりばったりで一期一会を楽しむのと、綿密な予習と計画のもとしっかり楽しみ尽くす…ぼっちはどちらかに二極化しがちなものだと思っている。ぼく個人で言うと、初見の地はだいたい前者で、広く浅くおおまかに風土を感じて回る場合が多い。煮詰めるのはそれからだ。
最終日は綺麗な秋晴れ。
宿に別れを告げ、右足をペダルへ。バチン!
そして左足を…ガッ、ガッ。あれ?
………ここに来て左クリートのバネが壊れるトラブル。
走りにくいけど、まあいいや。綺麗に晴れたから許す。寛大な心で初手から船旅と軽く洒落込む。
何気なく走ってた瀬戸内の風景、晴れをしてようやく理解してきた。空と海に挟まれ、眼前に浮かぶ島々と肩を並べているかのような感覚。
そして、失われた(?)ものを補完して行く。伯方の塩ソフトに、大三島の海鮮丼。
中にはいよかんコーヒーという珍品も。柑橘香るコーヒーというより、ごまの主張が強い坦々麺のスープを飲んでいたような不思議な感覚だった……
そして顔を覗き込むように陽射しが低く照りつけてくると、そろそろ旅の終わりの頃を感じ始める。
今回の締めだけは絶対ここを譲らないと心に決めている場所があった。
大島の亀老山(きろうさん)。
登坂距離4km弱、標高こそ300m程だが、急勾配が続くプチクライム。
名物の藻塩ソフト片手に展望台まで一歩一歩踏みしめる。陽が傾くにつれ、雲は席を外して行く。よりみちサンセットの時間である。
温かく透き通る夕日とともに、今回の旅の幕が下りてしまった。しまなみサイクリング・完。
片足ペダリングで松山まで戻るのも何だか馬鹿らしくなったので、ワープ発動。
駅で輪行袋をレンタルできるなど自転車帝国だからこそ為せる離れ業であって、普通ではまずありえません。
電車、フェリーと"'"現実""'に向けてドナドナ。
あまりにあっけなく実感に欠けるのでふと画像フォルダを見ると、これは夢で撮ってきた景色なのでは?と思う。
だがしかし、どうやらこの身で感じてきた風景らしい。